職場環境改善サポートプログラム
ストレスチェックの効果的な活用法
ストレスチェック制度の目的は、メンタルヘルス不調の未然防止(一次予防)です。不調の原因は個々様々にありますが、厚生労働省が発表している職場のストレス要因調査によれば、「職場の人間関係の問題」(41.3%)が最も多くなっています※。そして、職場の人間関係と職場環境には、密接な相互関係が成り立ちます。そこで、職場環境の改善をはかるために、ストレスチェックの個々の結果分析や集団分析を行い、さらにアンケートを活用し要因を深く探ります。ここで重要となるのは、その要因に対するアプローチをどのように行うかです。
自社で職場環境の改善を行うことは、複雑な人間関係や立場による力関係などの面から難しく、適切な対応や悪化を防ぐためにも第三者の専門家による介入が必要です。
※参照:厚生労働省「平成24年 労働者健康状況調査」
高ストレス部署の環境改善によるメリット
職場環境の改善が行われることにより、ストレスの要因そのものが低減され、結果として1つの部署だけでなく会社全体の人間関係が円滑・活発になり、生産性も向上し企業としての持続的な成長につながります。職場環境改善のメリットを検討した研究では、職場環境改善の実施にかかる1人あたりの費用に対して、得られる利益は約2倍と見積もられています※。従業員の離職防止や定着率を上げるために、また高ストレス部署を働きやすい環境に改善し高ストレス者の発生を防ぐためにも、職場環境改善サポートプログラムを実施しましょう。
※参照:独立行政法人労働者健康安全機構・厚生労働省「これからはじめる職場環境改善~スタートのための手引~」
ストレスチェック分析結果を活用した
「職場環境改善サポートプログラム」
職場環境を改善するには、比較的改善しやすい問題点から着手し、継続的なフォローを行うことがポイントです。
ストレスチェックと合わせて下記の3つのプログラムを用いることで、個々のストレスの低減、職場の問題点の改善、生産性の向上へとつなげます。
職場環境に関するアンケート
ストレス原因を探るためのアンケートで、職場環境の問題点が明確になります。アンケート内容は事前にお打ち合わせの上で作成します。 その結果を衛生委員会またはご担当者様にご報告し、内容に基づいて浮かび上がった問題・テーマをグループワークと講義型研修のどちらによって解決に導くか、また受講対象の検討を行います。
グループワーク
グループワークでは、少人数のグループで問題点や改善点を話し合うほか、交流の場を設けたりすることもあります。これにより同僚との横のつながりが強くなることで、お互いを気遣い支えあうことや、相談しあえる環境がストレスコーピング(対処法)の強化へと繋がります。また、大勢に向けた講義とは異なり、少人数のグループを組むことで、テーマを自身の問題として捉えやすくなります。そして、他者の解決方法・意見を聞くことで他者への理解を深め、自分の行動に活かすことでエンパワーメント(潜在能力を社員・会社の成長につなげるエネルギー)の向上を目指すことができます。
管理者向けには、上司が部下の状況を把握して相談を受けやすい環境を整える、「ラインケア」をテーマとすることを重要と考えています。
他者への理解と共に適切なラインケアが行われるようになれば、上司と部下の関係が円滑になることが期待でき、部下の異常を早期発見し適切に対応できるよう努められます。
講義型研修
アンケート結果をふまえて、取り上げる議題を選定します。講義形式の研修のため、共通の問題意識を持てるようになるほか、ストレス軽減の習慣(軽い運動など)を身につけることもできます。
※アンケート結果をそのまま議題にするわけではなく、個々のエンパワーメントを向上できるようなテーマを選定します。上司から部下へのラインケアの重要性のご説明も可能です。
グループワーク・講義のいずれの場合も、浮かび上がったテーマを直接改善できなかったとしても、その内容を議論すること自体がストレス軽減に大いに役立ちます。問題意識が共有されることにより、同僚同士の横のつながりが強くなり、1人1人のストレス耐性が上がります。
ラインケアの必要性
ラインケアとは
【社長 → 部長 → 課長 → 係長 → 一般社員】といった縦の指揮系統において、上司が部下の状況を把握し、相談を受けやすい環境を整えることをラインケアといいます。職場の環境を改善し、従業員のストレスを低減するためには、ラインケアが必要不可欠です。
適切なラインケアのために
適切なラインケアを行うために、主に以下3点のスキル向上を図ります。
- 上司が部下の異変に気付くことができる。
- 上司が部下の異変に気付いた時に、適切な対応をとることができる。
- 上司が自分自身のケアも適切に行うことができる。
※厚生労働省が2006年に発表している「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中で、4つのケアが重要であることが指摘されており、ラインケアがその中に含まれています。
高ストレス部署を働きやすくするために職場環境改善を、高ストレス者の早期発見のためにラインケアに取り組みましょう。